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福井がテーブルに拡げたのは、芸能人や著名人のゴシップを多く取り扱っている雑誌だ。
白黒の紙面を2ページ分にわたり、見覚えのある名前が載っている。
「これ……!」
包海のホテルの写真とともに、不正をして大学病院の公募に注ぎ込んだ金額が、生々しく書かれている。
他の会社の社長や政界の人達の繋がりを匂わせる記事に、オメガを使って資金繰りをしていたこと──。
立花の顔からさっと血の気が引く。
目を背けたくても、ここに書いてあることは、立花に関係する真実なのだ。
心臓が飛び出そうになるくらい、激しく脈打っている。
立花は2人の存在を忘れて、雑誌の記事を何度も読み返した。
しかし、包海 立花の名前は1度も出てこない。
対して、仁居と番関係にあったオメガの男性達は騙されていたと、仁居を相手に訴えを起こしていた。
「オメガの人達は自分から名乗り出たそうだよ。情報も全て記者に渡してる」
「……僕のことは、どうして……」
かろうじて出した声に、涼風ではなく福井が答える。
「郁がそこの出版社に掛け合ったんだよ。そうじゃなきゃ、今頃全部バラされてる」
「不安を煽るようなこと言うなよ。立花君は被害者だろ。名前を出すのはおかしいんじゃないのか、って当然のことを訴えただけ」
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