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涼風の訴えで、出版社は立花の名前を伏せて公表した。
もう何度も涼風に守られている。
熱いものが胸に込み上げてきて、泣きそうになったけれど、溢れる寸前でぐっと堪える。
「それであの、仁居先生の病院との研究は、どうなったんですか?」
涼風や福井が積み上げてきた努力を犠牲にして、立花は今穏やかな日々の中をを生きている。
ぶち壊した当人がこんなことを聞くのは、お門違いかもしれない。
涼風だけではなく、研究チーム全員の夢を、奪ってしまったのだ。
「あー……共同研究の話? 誰かさんがマスコミから情報買うために、研究費使っちゃったからなぁ」
福井のぼやきに、涼風はすかさず丸めた雑誌で頭を叩いた。
そうされるのは自分のほうではないのだろうか。
立花はびくびくしながら、2人に対してテーブルに額をつける勢いで謝罪を重ねる。
「会社の金には一切手をつけてない。事前に相談はしたし、俺個人の口座から出したんだから、問題ないだろ。……国立病院との共同研究を不意にしたのは、悪かったと思ってる」
涼風と福井がこれをきっかけに仲違いをしたらどうしよう。
立花の不安をよそに、福井は涼風の言葉に乾いた笑いで返す。
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