* Scent.5 *

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怯えの走った目を捕らえて、仁居は不気味な笑みを浮かべる。 「今度立花を抱くときに、ここにたっぷり鞭を食らわせてやろう。思いきり振ると皮膚が裂けて、綺麗な花が咲くんだよ」 「い……いや……嫌っ!」 「また目に怯えが走ったね……可愛いよ。お気に入りのオメガに傷をつけるようなことは、私も極力はしたくないからね。いい子だから、分かるだろう?」 立花は必死にこくこくと頷く。 プレイの一環で嗜虐的な言葉を吐かれることは多々あって、大袈裟な脅しだとは理解していても、反抗的な態度は取れなかった。 この男なら、本当にやりかねない。 仁居は客の中でも立花に暴力こそ振るわないが、言動や道具でいたぶるのが好きなのだ。 棒のように突っ立っている立花を、ロータリーに停めてある黒の外車へ押し込むと、前方の運転手に発つように告げた。 「……あの、叔父さんに連絡を……帰りが遅くなると、怒られるから……」 「ああ。私から連絡してあげよう。そのほうが話も早いだろう」 スラックスからプライベート用の携帯を取り出して、仁居は瑛智に電話をかける。 立花の恐れているもう1人の男の声が、スピーカーから聞こえた。
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