第1章 ご無沙汰してます

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第1章 ご無沙汰してます

ーー以前亡くなった、あなたの大事な人とお話してみませんか? 我が国はまた大きな一歩を踏み出すことになる。  我が国の1個人が開発した  我が国だけが使える  特殊な電話。 その名も〝糸電話レボリューション〟  故人とリアルタイムに話すことが出来る前代未聞の商品が、株式会社不二リアルコーポレーションから発信された。 ーーそう。これは故人と会話のできる電話。  あの世とダイレクトに繋がり、1対1で繋がる様子が真っ直ぐに伸びた糸電話のようだという理由から命名された。    どういったものかーー。  それは古墳のようなヒトガタをした高さ30cm程度の立体型をした置き物。  顔の部分に話したい相手の写真を貼り、一度貼ったら剥がすことは出来ない。そしてお腹の辺りに名前を書くスペースが2段あって、上段に故人の名前、下段には自分の名前を書く。  ヒトガタのおでこには使用者の顔認証をするカメラがついていて、故人の名前と顔が一致してること、そして下段の名前と使用者の顔が故人と接点があるかAIが認証する。  原則的に故人と接点のない場合は糸電話対象外である。自分と面識ない人は使用不能。  80歳以上の年配者1名につき2体までは無償で貸し出し、80歳未満は1体につき5万で販売をする。  そして1体につき1名のみ顔認証で登録し、1日1回3分まで故人とトークが可能、3分経過後自動的に切れる。故人の声はスピーカーを通じて誰でも聞くことが出来るが向こうには登録した人の声しか届かない。  使い方はその人次第。生きてた頃のように普段通りの会話がしたい、あのとき言えなかったことを伝えたいーー。  また、遺言の内容について直接本人に確認することが出来るため、本人の声紋が証拠として確定できれば、亡くなったあとでも相続の話し合いが出来る。万が一そこで揉めれば貰えるものも貰えなくなるだろう。  逆のパターンでは、仏壇にお供えをしてほしい、蕎麦が食べたい、お線香をあげてほしい、そんな要望を故人から言われることもある。  お互いがWIN-WINの関係になれる、言葉のやりとりが可能になった。
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