たっちゃんの推理

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「金も持っているのか……」 先程よりも更に眉毛を下げてたっちゃんは食べかけていたモツ煮を豊作に差し出した。 それと同時に豊作の前に出来立てのいももちが差し出された。 「私からのサービスです」 優しい大将の声と共に出されたいも餅は、絡められた甘辛いタレとその上に乗せられたバターが溶け合っい香ばしいかおりがして豊作に笑いかけている様だ。 「いいの? よく分からないけどありがとう!!」 豊作は無邪気に笑ってお礼を言ったが、その先の大将は先程のたっちゃんと同じ様に眉毛が思い切り下がり、哀れそうなやり切れなそうな表情に無理矢理笑顔を貼り付けていた。 「まぁさ、何があってもさ、おれら竹取りコンビでこれからも仲良くやっていこうぜ!!」 たっちゃんが親指を立ててウインクする。 そう、小学校時代からこの2人は竹ノ内の『竹』と取谷の『取』をとって『竹取コンビ』と言われていた。 「やめて〜〜!! 僕その名前大嫌い!! 今その名前聞くのも嫌だ!!」 そう言って耳を塞いだ豊作の目にまあるいいも餅が映り込み、そのまあるいいも餅がだんだん満月に見え始め、その中に銀髪二枚目男の姿が浮かび上がってきた。 「く〜〜っ!!月なんて大嫌いだ〜〜!!」 そう言っていも餅を一口で口の中に突っ込んだ。 「あっひっひっひ」 真っ赤になりながら熱さと戦っている豊作の肩を組みながら赤ワインを片手にたっちゃんが大笑いしながら叫んだ。 「竹取りコンビは永遠に不滅だーー!!」
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