28人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
媼の憂鬱
竹ノ内豊作は最近月を眺めては溜息をついている。
その姿は月を恋しがっている風にも見えるのだ。
豊作の奥さんである、竹ノ内 満佐子はそんな旦那の姿を見て心配をしていた。
最近、かぐや姫が地球に来ていない。かぐや姫は千年経った今でも若く美しい女性だ。
もう、初老となった自分にはトキメキもなくなり、かぐや姫を恋しく感じているのかもしれないと思ったのだ。
満佐子は自分の部屋の姿見に自分の姿を映してみた。
あぁ。いつの間にこんなに歳を取ってしまったのだろう……。
こんなにまじまじと自分の姿を見る事など無かったが、婆さん感が漂い始めている。
そう、かぐや姫は見た目は20代に見えるが彼女はれっきとした千才を超えている老婆なのだ。
そんな超婆さんに自分は負けていると思うと満佐子は悲しくて仕方なかった。
こんな歳になってから女として敗北感を味わう日が来るなんて思ってもみなかった……。
最初のコメントを投稿しよう!