23人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、料理できるし長男だし、女子力ないお前でも女として見れるし、すげーいい男だと思うけどっ!」
「……だからなに」
「だぁもう! だから!」
かつてこんなに乱雑に私の腕を引いて、強引に抱き竦める男がいただろうか。でもまぁ、耳まで真っ赤だし、私はあったかいし、最後の一言が言えたら許してあげることにする。
「言わないとわからないんだけど」
苛立ちが紛れた舌打ちが耳を心地よく撫ぜて、「この人で最後かな」と笑ってしまう。ようやくしびれを切らした彼が、大きく息を吸ってやけくそのように叫んだ。
「俺にしろ!」
最初のコメントを投稿しよう!