二章

6/6

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
しっかり完食して今度は代金を支払い、スタンプカードにハンコを押してもらったあと、店を出ると公祐はそのまま後をついて来る。 「来週、新メニューだからな」 わざわざ帰り際に言うくらいだから美味しいのだろうか。 「新メニュー? 何?」 「カキフライ定食」 そういえばそろそろ、牡蠣が美味しい時期になるっけ。 「わかった。また来るね」 「おう」 私が駐車場に向かう信号を渡るまで、公祐は店の前でずっと立っている。口は悪いけど、わりと優しい性格らしい。 次の週にカキフライ定食を食べた後、公祐はお会計をした後玄関まで出てきて「来週は和風ソースを新しくしたからおろしハンバーグ定食」とメニューを決めてしまう。私もいちいちそれを食べる必要はないのだけど、次の週は律儀にそれを注文する。すると公祐がお会計の後「うちの麻婆豆腐美味いぞ」と言うので次は麻婆豆腐丼にする。いつのまにか、公祐が次の週のメニューを決めて私はそれを食べるのが暗黙の了解になっていた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加