三章

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「お待たせしました。秋野菜の天ぷら定食です」 公祐はそっとサラリーマンのテーブルに料理を置いてさっさと行ってしまう。サラリーマンは「せっかちだね彼は」と笑いながら手を合わせ、「カボチャが甘い」と呟いた。 「……どうです? ちょっと僕と付き合ってみませんか」 どこに。あ、いや告白か…… 「えっ!」 「はは、驚いてる」 「そ、そりゃ驚きますよ!」 名前も知らない人に告白なんかされたことない。 「あぁ、名乗ってませんでしたね。僕は井納誠二(いのうせいじ)です。よろしく初音さん」 私がぽかんとしていると、井納さんは名刺を出しながら少し茶目っ気のある瞳を覗かせた。 「名前知ってますよ。いつもあの男の子が貴女をそう呼んでるから」
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