一章

5/7

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「よく食うなー」 「ふぉわ?」 私の席の正面にある流し台で洗い物中の、金髪の白タオルを頭にまいたオニーチャンが若干引き気味で見つめてくる。客に向かってどういうことだ。 「おいしーですよ。ちょっと甘めで」 「そー、よかった。親父に言っとく」 「んっ!」 喉に米が詰まって苦しい。しかしコップの水は既に飲み干しており、私は必死でピッチャーを探す。 「あーはいはい。水な水」 オニーチャンがコップに水を注いで手渡してくれた。私はそれを掴んで急いで口に流す。 「……ありがとうございます」 「いい大人が何してんだよ。部活帰りの学生でももうちょっと落ち着いてんぞ」 なんじゃコイツ。正論だけれど。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加