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「公祐! すみませんねぇ失礼な息子で」
たまたま左隣の席の食器を片付けていたおばさんが檄を飛ばす。
「あーいや、気にしてないですよ」
「気にはしろよ」
いつもならサラッとあしらえる軽口なのに、どうしてこんなに、胸に刺さって痛いのだろう。
「さっきからさ、良い食べっぷりだよな。女捨てる勢いで食ってんだろアンタ」
小馬鹿にした口調でズケズケと、なんで私こんなこと言われなくちゃならないの。女捨ててなんかないのに。元々女じゃなかったってこと?
「何なのさっきから! こっちだって、分かってんのよ〜、女らしくないことくらい……」
ぼろぼろ涙を流し始める私を見て流石の男も動揺したらしく、ガションと持ってた食器を落とした音がした。
「あっあ〜あ〜あ! この馬鹿息子! 待ってて今布巾持ってくるからね」
「こーちゃん女の子泣かすなよ!」
右隣に座ってたおじさんが男を非難する。
「いや、だってさ! そんないきなり泣くなんて」
「こっちだって泣くとは思ってないし! それをアンタが色々言うから……」
「もういいから、この馬鹿の所為にして好きなだけ泣きなさい。ね?」
おばさんが優しく肩を叩きながら私に飴玉の乗った布巾を差し出してくれた。
「ほら、これあげる。飴ちゃん。元気になるから」
「うう、ありがとうございます……」
いい大人が飴ちゃんで慰められて、なんて恥ずかしいんだろう。ほんとに全部こいつの所為にしてやろう。
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