贈られたその日

1/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
肌寒い世界だ。寒い寒いソビエトの夜。月明かりの下、大きな歯車の上に座り、私は雪原の広がるこの地球を眺めている。私は独りで唄う睡蓮のような気がした。 世界が統合化され、今ではすぐそこに隣の国があるような実感が世の中の人々に普及されていた。 今日の日付は……。 私は手が止まった。今日私は28歳の誕生日だそうだ。そんなふうに思わなくなっていったのはいつからだろうか、時の流れに曖昧になり、日々が過ぎ時間が消えていく。そんな虚無感は若い自分からずっと消えることなく残存していた。だけど1度だけ、ハッキリと覚えている誕生日があった。それは今から10年前だ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!