異世界への帰還

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召喚された俺達の周囲には殺気を隠した近衛兵に囲まれていた。目の前には、俺の知る王の姿があった。この異世界は数多くの街に分かれており、3つの国によって支配されている。 そのうち、一番大きな国の王の御前と言うべき場所だ。何も知らないのか、西園寺が王に詰めかけようとした。 それは、無理だと知ると彼は叫んだ。 「一体ここはどこですか?あなたは、何者ですか?」 王は、面白そうに目を潜めた。 「そうだな。君は俺によって召喚された。そして朕はここの王である。」 カヤトは何も知らないフリをして王に話しかける。 「王様。すいませんが、我々がここに召喚された理由を聞かせてくれませんか?」 「ふむ。許可する。おい。」 王の横の若い執事が王に一礼した後ゆっくりと口を開いた。 「皆さま。ようこそ、いらっしゃいました。皆様には、各地のダンジョンの魔王を討伐して欲しいのです。 一昨年前に、最恐だった冒険者がこの世界から消えたあと、魔物による被害が多く発生するようになりました。 皆様。お自身のステータスをご確認ください。 そうすれば、皆さまのお自分の役職や実力が分かります。 冒険者登録はこちらで済ませておりますので、Fランクと書かれている筈です。 皆さんには、冒険者となってもらい、いずれ、魔王を討伐して欲しいのです。皆様が各自、力をお付けになるまでは簡単なクエストを渡しますので、スキルをお付けになって下さい。 時間はかかりますが、我が君のご命令でもあります。 どうぞ、御受託下さい。」 完全に逃げ道が見当たらない。 勝手に連れてこられたとしても、王の命令をこの場で逆らうと近衛兵達の魔法の餌食となってしまう。 悔しそうな顔を見せる者もいるがどうしようもないと、諦めている、観念している者の方が多かった。 「では、各自ステータスを確認してみるのだ。」 王は豪快に笑っていた。 前世の俺は奴(王)の師匠と言える存在であったが、今ではこうして立場が入れ替わってしまっているのは悔しさが否めない。 だが、奴のお父上に俺はつかえていたので王に従うと言う経験は慣れきっている。 そして、俺のステータスを開いた。 ほとんどが昔のままだった。 年齢と冒険者ランク以外は。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 名前 オレフィンカヤト 齢:15 属性 全て HP 2400000000 MP ∞ 最大攻撃力 300000000 経験値 9970997908 レベル128 称号: 英雄覇者の右腕魔導師守銭奴剣士戦士魔法剣士治療師最強の漢 地位: 英雄(冒険者) スキル: 魔術魔法ヒール加速 鉄壁支援探知硬化高速移動破滅の魔眼ステータス偽装気流操作 冒険者ランク:F ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ステータスを見合うことはマナー違反だと執事が告げた為、見せ合うことは無かったがこれが見せ合うようだったら大変だったと思う。 ただ、王が言った。 「この中で、勇者と言う地位のものは手を挙げてくれ。」 手を挙げたのは西園寺だった。 勇者に選ばれたのを誇るかのように胸を張っていた。なんで奴が勇者かわからないのだが、これまた運命と言うのだろう。 カヤトは、大きなため息をついた。
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