転生者達

1/12
前へ
/12ページ
次へ

転生者達

 魔王の力は強大だった。 「みんな、気をつけろ!!」  勇者殿が叫ぶのと、魔王がその付き出した指から雷を放つのは同時だった。 「な、おい、肉団子!! 早く僕を守れ!!」 「こっちは手いっぱいだべ、耐えてくんろ」  ちょ、おい、僕を守るのも役目だろ。  何のためにお前に防御魔法かけてやったと思ってんだトンチキ……。 「うわぁぁぁぁ!!」  体を貫きすさまじい衝撃。 「トルファーン!!」  勇者殿の叫び声。  悪いのは、そこの脳筋おっさん戦士ですよ勇者殿。  そう言いたかったけど僕の口はもう動かなかった。  それだけじゃない、自分の体なのに自由になる部分はどこにも無かった。  意識だってその例外じゃない……。  もう、ダメ……。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加