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それ以降、黒部が悠にとても懐くようになるが悠は嫌がらなかった。別に何も悪いこともしていない彼を見捨てることはしたくないようで、たまにとる黒部の不思議な行動にも悠は世話をしてやった。
まるで家にいる赤ん坊と同じように手慣れたように。
話を聞くと黒部は高校入学前に両親が離婚し、父親に引き取られたものの、父親は失踪し祖父母と共に暮らしている。
しかし祖父母は自由な人たちで、黒部のことは束縛せずお金だけ出して、面倒はあまり見ない人たちだった。昼ごはんも弁当でなくて学食のパンである。夜もご飯だけ置いてあって、ひどい時はカップラーメンだけの時もある。
それを聞いた悠は黒部を家になんどか招いている。
「悠君の家は賑やかで羨ましい。」
悠の家族は両親と社会人の兄、中学生の妹、赤ん坊の妹の六人家族だ。
悠の家族も人懐っこい黒部を可愛がり、晩御飯や休みの日に来ることをとても歓迎し、泊めることもあった。
悠は次第に黒部を愛おしく弟のように愛でるようになった。
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