Fourth Wall

5-②.綻び ※

　舌が触れるたび、燈子の素足がベッドの表面を蹴ってはすべる。見かねて沙保が燈子の膝を自分の両肩に引っかけさせると、ほっそりした両脚が頸に絡み付いてきて、柔らかな太腿に頬を挟まれた。
　舌先を尖らせて蜜口をつつくと、待っていたようにかすかなひくつきが伝わってくる。それはまるで、踏み込んだら最後引き返せないと警告でもされているみたいで、沙保は一瞬動きを止めた。
　不安そうに燈子の声が揺れる。
「なに……？」
「なんでもない」
　あなたになら全身を呑まれたって構わない――。
　熱に浮かされたように沙保は燈子の温かなぬかるみに舌を押し入らせた。

　目を伏せて舌を大きく動かして息づく襞の間をかき分けていくと、燈子の唇から小さくあえぐ声が吐息とともにこぼれ出る。かすれた悩ましげな響きが鼓膜を震わせ、少しずつ脳を満たして、あらゆる思考を追いやっていく。
　たまらなくなって、沙保は湿った匂いを胸いっぱいに吸い込み、塩味のある蜜をごくりと飲み下した。
　濡れた恥毛にふわりと鼻先をくすぐられ、沙保が薄目を開けると、紅い蕾がぼんやりと鈍く光っていた。蜜を掬って塗り付けたとたん燈子の腰は跳ね上がり、蕾は研磨された宝石のようにぬらりと光沢を放って輝いた。
「ひゃ……ああんっ」
　くぐもったハスキーな声も、よじれる白いおなかも、ふるふる震える胸もとも、誰にも渡したくなかった。きっと燈子ほど気まぐれでもものぐさでもなく、それなりに年の近いかわいい子なんていくらでもいる。それでもきっと誰も燈子の代わりになんかならない、誰よりもいとおしかった。

　何を思って燈子が恋人ごっこなんて言い出したのかは分からない。その上、恋人のようにキスを交わし、舌を絡め、抱き合っても、次の瞬間にはもう現実が迫って来る。でもあなたが望むならそれでもいい――。
　包皮の上からさすり、転がし、弾いて、引っ掻いて。そうして蕾を指先で弄りながら、沙保は舌先で蜜口のコリコリした場所を執拗に攻め続けた。
　とろり、とろりと奥のほうから吐き出される蜜をわざとらしい水音を立ててすすり上げるうちに、もう沙保の舌は痙攣を繰り返す襞の奥へと持って行かれそうだった。
「ああっ……ああんっ」
　息を吸って吐く一瞬の間に、舌で内壁を抉り、同時に親指と人差し指で蕾を撫で上げると、燈子の声が一際高く響いた。
　ぎゅうっと襞が蠢いて舌を締め上げたその瞬間、燈子は大きく吸った息を吐きだすように声にならない悲鳴を上げて達した。
　名残惜しそうにひくつく蜜口からぬろりと抜け出ると、ひやりと冷たい空気が舌に触れた。あふれた蜜でキラキラ光る内腿を舐めとっていくと、舌先が触れるたび燈子の力の抜けた肢体はぴくりと震えた。