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「告白しねぇの?」
「……え」
「好きなんだろう?だったら告白しないと」
「……」
その口調は僕を馬鹿にしたようなものではなくどこか真剣さを感じさせるものだった。
そんな訳で何故か高校の最寄駅までの間、僕と斉藤は急ごしらえの恋愛相談会を開催することになった。
「…あの……斉藤」
「ん?」
「なんで僕とこういう話をしているの」
「なんでって……いってる意味が解んねぇんだけど」
「だって僕と斉藤って別に友だちでもないし……地味で暗い僕なんかと話したって面白くも愉しくもないだろうし」
「それっておまえ基準だろう?」
「え」
「前から思っていたけどさ、坂本って変に壁作ってんだよな。近寄るなオーラ噴出しているっていうか」
「……」
「そういうのあるからさ、話しかけたくても話しかけられないじゃん、こっちはさ」
「……」
「おれは友だちになりたいと思っていたよ。っていうか地味で暗くてもいいじゃん。そういう奴とも友だちになりたいんだよ、おれは」
「……」
「色んな性格の奴がいて色んな個性があって、その方が絶対面白いと思うんだよ」
「……」
斉藤の言葉を訊いて目からボロボロ鱗が落ちた気がした。
(そんな風に思っていたのか)
ただの陽気なキャラで地味で暗い奴は気に入らないだろうと一方的に思い込んでいた自分が恥ずかしくなった。
「んで、坂本と友だちになれそうな案件を発見してこうやって話しかけたんだけどおれの作戦、成功?」
「……うん、成功」
「ふひひっ、そっか!じゃあ友だちとして遠慮なく坂本の応援出来るな」
「…!」
思わぬことから僕に陽気な友だちが増えた。そのきっかけとなった彼女の事を思うと今までよりも一層強く気持ちが傾いて行ったのだった。
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