クローゼットを開けてください。

誰かと誰かの「手紙」

　『俺』から『お前』へ

　今日も『俺』は幸せだ。
　あ、でも彼女とは別れた。なんかちょっと喧嘩しちまって、なんでかなぁ。
　けど別に『お前』が言うような、後悔するようなことにはなってないからな。
　彼女といられて、楽しかった。デートにも行けた。
　そうそう、今日の昼、雅人の彼女が生徒会室に来たんだよ。もう隠す必要ないなって。
　今まで女っ気のなかった『俺』に、気を使ってくれてたみたいなんだ。でも俺達の方は別れたんだって教えたら、途端申し訳なさそうになってさ。
　気にしないのに。
　で、雅人の彼女が生徒会の仕事を手伝ってくれた。ひらっひらのスカートを翻してさ、雅人にレポート持って行って。
　スカートから覗く太ももとか、膨らんだ胸とか、見せつけて。嫌らしい。
　なのに雅人、全然気にして無くて。彼女に丁寧に指示出して。
　『俺』には何で胸がなんだろう、こんなに筋肉質な脚なんだろう。
　あれ、こんなこと前にも考えなかったっけ？