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 米富軌道は僕の仲間だと感じる。 そして僕は自分の人生の終止符をこの地で打とうと思う。 そう、世界にピリオドを刻むんだ。僕は本当に不器用な人間だ。 しかし、ただ自己憐憫に溺れたいわけではないし、もはや誰も恨んではいない。 もとより都会の閉塞した生活には辟易している。 そして僕は静かに死にたい。 静かな場所で誰にも知られることなく…。ただそれだけが僕の望みだ。  僕はJR中央線の大月駅まで電車を利用し、そこでレンタカーを借りた。 米富軌道が走っていた路線にいくためには幾つか山を越えていかなければならない。予め道路地図とにらめっこしていた僕は容易にそこに辿りつける自信があった。念のためカーナビを設定し、僕は山道を縦断するルートを北西に進んだ。
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