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母は山梨県北東部に位置する小さな町、三橋町で育った。
過疎化の波に飲み込まれた町は右肩下がりに人口を減少させ、やがてうら寂しい温泉街だけの秘境になった。三橋町には材木加工の他にとりとめて産業はなく、また農業も年々衰退していた。
母の両親は平成3年頃まで三橋町に住み、やがて山梨市内に転居した。
ひとつは病院までの距離が遠く、なにかと不便だったこと。
もうひとつは祖父が勤務していた町役場を定年になったこと。
人口減少で町として段々機能しなくなっていた三橋の町は、斜陽のただなかで息も絶え絶えだった。そんな三橋町に鉄道など必要なはずはなく、米富軌道は平成の時代まで存続することなく、消えていった。
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