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要するに僕はスマートな営業ではなかった。
人よりも倍働いて真面目に仕事にとりくんだ。僕の営業成績は、たんにその反映だった。要領のいい営業ならは、僕みたいに時間をかけずに契約締結へと結びつけるに違いない。そう、僕はとても不器用な人間だ。
6月のある日、ふいに事務所に一本の電話が入った。
電話を取り次いでくれた女子社員曰く「株式会社コスモライダーの吉谷」という人物からの電話だった。
「突然のお電話失礼いたします。今はまだ正式な会社名は言えないのですが、実は谷本良樹さん、あなたにとても関心をお持ちの企業様がいらっしゃいまして…」
それは意外なことにヘッドハンティング会社からのオファーの電話だった。
吉谷と名乗る男は、とにかく実際に一度会いたいと懇願してきた。会ったうえで詳しい話を聞かせてくれるらしい。
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