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狼少女ユイ
「なんで名前なんか……」
「……ダメ?」
狼少女が上目遣いで聞いてくる。しかも全裸なので、目線をちょっとでも離してしまうと色々と見えてしまい、主にケイの股間辺りが色々と大変なことになる。
ケイだって思春期の男の子なのだ。色々と妄想はしてしまう。だが、そこを復讐してやるという理性で抑えているが、裸で密着ともなれば少しは揺らいでしまうのは男のサガである。
「……じゃあ、ユイで」
「ユイ?」
「嫌か? だったら他のを考えるが」
「ううん……嬉しい……こんな気持ち…初めて」
「そうか……だったら離せ」
「……や!」
さらに力強く抱きしめられ、離すことが難しくなった。しかも、狼少女のロリ体型ながらもしっかりとした膨らみのある胸の押し返す力が強くなり、かつ、包容する柔らかさがさっきよりも鮮明に伝わってくる。
「……ったく、このまま寝る。朝までには離れろよ……」
ケイはバチバチと燃える火を見つつ、生まれて初めて抱かれた女の子の柔らかさを少し噛み締めながら、意識を底へと落とした。
洞窟に朝の陽射しが、ケイを目を覚まさした。周りには、昨日干したカッターシャツ、燃え切って灰になった焚き火の跡。
そしてーーー
「おい、起きろ。いつまで抱きついてるつもりだ?」
「ふぇ?……もう、朝? まだ、寝る……」
「お・き・や・が・れ! 邪魔だ!」
無理やりどかそうとするが、全く叶わない。ケイは、明らかに自分の方が劣っていると感じてしまうどの力の差がそこにあった。幸いなことにまた顔を埋めていたので全身、つまりは全裸。
いわゆる、おっ……双丘は見えていない。感じるものはあるが、精神力で抑えきる。
「はぁ……どうしたらどいてくれる?」
「……名前…呼んで」
「……どけ、狼」
「や!」
「……どいてくれ、ユイ」
ユイはビクッと反応したあと、耳と尻尾を嬉しそうな左右にぴょこぴょこと動かす。さっきと変わらず抱きしめているが少し弱まった。
「……もう1回」
「…………」
「……もう1回」
「…………ユイ」
「……ん、満足」
そう言うとユイは立ち上がり、乾いたカッターシャツをすぐさま取り出して、羽織る。そのままケイに近づき、バッと両手を広げる。
またしても尻尾がフリフリと動く。
「……ボタン」
「ん?……あぁ、次から自分で閉めれるよう練習しとけよ」
「や!」
「なんでだよ……」
ケイは第2ボタンから最後で順に閉めていく。ケイは、微かに触れる柔らかなお腹や肌を歯を食いしばりながら耐えて、最後まで閉めきった。
「……ありがとう…え〜と……」
「はぁ……ケイだ」
「ケイ!……ケイ! ケイ!」
ケイの名前を呼ぶ度に、ユイは初めて言えて喜んでいるみたいな子供みたいな顔をしている。
「まったく、何が嬉しいんだか……さて、土器でも作りますか!」
「……土器?」
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