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名前の違和感
ケイは鑑定眼を使い、顔面がグシャグシャ、胴体を縦に3等分された猿を見た。そこには『ホワイトモンキーズ』という種だけが記載されていた。
「……? どうしたのケイ?」
「ん? あぁ、なーんかこいつの名前に違和感を感じるんだ」
「……きっと、気のせい。……お腹空いた」
ユイはケイのズボンをクイクイっと引っ張って合図を送る。お互いにコクっと頷くとそれぞれ部分に分けて土器が作ってある所まで戻った。土器を燃やしているひ未だ燃えており、よく見ると土器もどきは、高温により赤くなっている。
「よしよし、いい感じたな。出来るまでに血抜きと毛皮をやろうか」
ケイはユイに毛皮の剥ぎ方を教える。その間に逆さに吊るしてホワイトモンキーズの血抜きをする。その作業が終わる頃には、土器はもどきを燃やしてる炎が消え、完全に収まった。
それを確認したケイは、さっそく取り出す。
「あちちち……うーむ……よし、しっかり出来るな」
完成した土器を湖でしっかりと洗い、中にある灰を確実に落とし、湖の水を汲む。
そして、1杯。ゴクッゴクッゴクッと。
「あぁ〜うめぇ〜!」
ユイが真似したいのか、ケイのズボンをクイッと引っ張る。ケイが「欲しいのか?」と尋ねるとコクンと首を振る。ユイにそっと渡すと、ゴクッと1口飲む。
「……普通」
「湖の水だからな……。まぁ、ただの水じゃないけどな」
「……どういうこと?」
「これ、回復(大)なんだよ」
これまで何度かして分かったケイの鑑定眼の能力は、身内なら名前、称号、技能が分かる。魔獣なら、種族名が、物なら名前と効果がわかることが判明した。
未だに理解が出来ていないのか、ユイは首を傾げる。見かねたケイが、土器作りで未だに熱してる石に、血抜きが完了したホワイトモンキーズの肉を1切れ乗せて、石焼にする。
「つまり、こういうことだ!……いただきます」
軽く焼いたホワイトモンキーズの肉を食べる。その瞬間、ケイの体温が一気に上昇し、体が作り替えられる。
普段はあまり出てこない青い光の線が、一気に照らしだし、ケイの体に少しずつ蝕むように伸ばしていく。心臓部からゆっくりと……。
「くっ……ゆ、ユイ! み、み、水!」
ケイの言葉に素早くユイは反応し、湖から土器を使って水を汲み、ケイに飲ませる。すると、だんだんとケイの体を纏っていた青い光の線は収まっていき、火傷するように熱かったケイの体温は常温へと戻っていく。
「……と、まぁ、こんな風に回復が早いわけだ。わかったか?」
「……ケイ、前よりかっこいい」
「……」
ユイは理解したのか、してないのか微妙な返事が返ってきた。それはさて置き、ケイは残りの肉を再び火をつけて焼こうとした時に、魔獣の名前の違和感を思い出した。
「……ホワイトモンキー”ズ?”」
ズ……つまり英語で書くとsだ。複数形を意味するその名前には、文字通り複数形意味することに気がついた。
すぐにユイの方を見ると、『気配察知』で気がついたのか既に戦闘態勢に入っている。
「……ユイ、何匹だ?」
「……15」
「ちょうどいい、今の俺の力を試してやる」
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