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猿たちの親玉
十分ぐらい経つとホワイトモンキーズの血抜きが完了したので火を起こして焼いていく。じっくりと焼いてしっかりと火が通るのを待つ。実際には内蔵を捨て、食べられるところがそれほど残ってはいないので、焼くとすぐに火が通る。
隣からグルグル〜と腹を空かして待っているユイの目がやばかった。
「お前、さっき食べたばっかりだろ」
「……足りない」
「さすがは人狼だな」
肉が焼ける匂いしかなく、調味料がないので肉その物の味しかない。幸いなことに魔物の肉は火が通ると若干だが苦味が無くなるため、ケイでも食べられる。
食感はカエルの肉に近いが、味は焦げた肉だ。
「……食べられないわけではないが……まじぃな」
ユイは口に含んでいるものを飲み込んでから話す。
「……美味しいよ?」
「それは、本当に美味いものを食ってから言う言葉だ」
横でモグモグとなんの抵抗もなく、味わって食べている辺り、毎度ケイは、ユイの技能の1つである『悪食』に驚かされる。
「羨ましい舌だ」
「?」
ケイがホワイトモンキーズの2匹目に行こうとした時、またしても体が熱くなり、体内が作り変えられる。
が、今度は短時間だった。ケイとユイはお互いに顔を見合わせて「?」を浮かび上がらせる。
「何が変わったんだ?」
「……多分、技能?」
ケイは首にかけあるステータスを見ると『威嚇(中)』になっていた。試しにユイにやってみると、「小」の時は本当に一瞬だけだったが、「中」になると3秒だけ動けなくすることが出来た。
そして、技能にはインターバルが存在し、連続して利用するには5秒だけ間を開けなければならなかった。
「だから、さっきの戦闘で連続で出来なかったのか」
「……ん、けど、ケイは倒した。ケイ、かっこよかった」
「まぁ、あのレベルならなんとかな」
そう言いながら、ケイとユイで合計4匹を食べ終える。残る4匹は持ち帰ることにした。
帰る支度をしていると、ユイの警戒網にまたしても何が引っかかった。
「ん? どうしたユイ」
「……ケイ、やばいのが来る」
「勝てそうか?」
「……ギリギリ」
フェンリルの人狼であるユイがここまで焦っていることを意味するのはケイは察していた。つまり、これから来る奴らはめちゃくちゃ強い訳で、ギリギリだが勝てるということからーーー
「つまり、ご馳走か」
「……ケイ、物好き?」
「お前に言われたくねーよ!」
そんな会話を交わしていると、2人の前に何かが降ってきた。それはとても重いのか、辺りの地面を揺らし、物凄い勢いで着地したため土煙がモクモクと発っている。
「なるほど……これは、すげぇ……」
ケイ達の前に現れたのは、ホワイトモンキーズの親玉である『ホワイトトロルコング』だった。
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