危険な梅花高校の話だって!

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危険な梅花高校の話だって!

 「あの三人だけだよ。そんなこと思ってるの・・・」  丸山君に声かける。  「アレ!丸山だ!!超アブナイ」  三人連れの女子の声・・・    「女子見たらだれでも声かけてるって!  こないだなんか、アイドルが写った交通安全のポスターに声かけてるの見たって!」  「こ、こわい!ホントなの!」  思わず丸山君の顔見てしまった。  丸山君、ガックリ肩落としてる。  「丸山君って有名なんだね」  「うるさい!」  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  校門出たあたりで、やっと丸山君も立ち直ったみたい。  「いま、梅花な。  アブナイのがウロウロしてるから、新聞部からこういう本だって出てるんだ」  交差点で信号待ちながら本を出して見せた。  ホッチキスで止めたうすっぺらな本。    『梅花高校危険地帯』  「地帯」って・・・  変換ミス?  「痴態」って文字の上から「地帯」と印刷された紙が張りつけてある。でも下が透けて見えてる。  なんだか関わりたくないイヤなタイトルの本。 <新入生のみなさん。転校生のみなさん。  わが校へようこそ!お気の毒でした!  私立梅花高校。創立六十七年。  私立の進学校として知られていた当校も、最近では風紀も乱れ、事件事故多発地域として、近所の人も恐れています。  さあ、みなさん。  なにもない平和な学校生活を、この冊子で送ろうではありませんか>  「この本。発売早々、生徒指導部に見つかって回収されたんだ。  だから幻の一冊なんだぜ!」  当然だって思う。  「梅花高校の先輩から、二千円で特別に譲ってもらった」  二千円!  「もとは五千円だったって!」  丸山君って、「オレオレ詐欺」にひっかかる可能性大だって思う・・・
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