サキ先輩とのプロローグってこと!

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サキ先輩とのプロローグってこと!

 「俺もこの高校、行くことになるから色々調べてんだ」  丸山君って悲しそう。  郵便局のある交差点。  普通ならこのまままっすぐなんだけど・・・  「近道していく。母に宅急便が来る予定なんだ」  「そっち通るのか?気をつけろよ」  丸山君、変なこと言った。  右へ曲がると家も少なく田園地帯になる。寂しいけど危険なとこなんて聞いたこともない。  左右に田園を見ながら歩く。狭い道に人はいない。  百メートルくらい離れたところにいくつか家が見える。  家の向こうには堤防。堤防を走る自動車が小さい。  ここから見える光景って中学一年の時と変わらないんだ。  だけど走る自動車って違う。  隣に麻衣ちゃんだっていない。  心の目っていつだって、隣を歩く麻衣ちゃんが見えるのに・・・  麻衣ちゃんったら少しはしゃいで言うんだ。  「早く帰って勉強!健ちゃん、覚悟して!」  ぼくの手を引っ張る!  右手の先を顔に近づけて、開いて閉じる。  麻衣ちゃんの柔らかくて暖かい手のこと、少しでも思い出したくて・・・  右手に林が見えてくる。  昼間でもうす暗いけど、ここ突っ切ったら家の近くに出られるので、ふたりで帰るときってよく通ったんだ。  麻衣ちゃんに右手引っ張られた。  そう・・・  ぼくが中学一年の六月まで・・・    幼馴染の麻衣ちゃん。急に大阪に引っ越し、まもなく、優秀な警察官を育成するイギリスのスコットランドヤード大学に入学した。  ぼくら没交渉になった。  母からの連絡で、麻衣ちゃんが短期間で大学を卒業し、日本の警察庁の特別捜査部大阪部局の特別捜査員になったって聞いた。  ぼくら違う世界に住む関係になったんだ。  もう手をつなぐことなんてないんだ。  右手を引っ張る人っていないけど、自分一人で林を突っ切ってみようって思った。  林に入って、木の間の狭い道歩いてたら・・・  男の人の声が聞こえた。  「俺は宇野に会いに来たんだ。なんだ。お前ら」  女性の冷たい声。  「宇野さんなら来ない。  さっきの電話、わたしらの前でしたんだよ。  あんたに!」  「なんのマネだ!」  「いまから分かるから」  木の枝がかすかに風に揺れる音・・・
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