先輩との二度目の出会いってこと

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先輩との二度目の出会いってこと

 私立梅花(べいか)高校の校庭。今日は受験日。  最近では風紀が乱れてるって話。  一緒に受ける丸山君からの情報。  校内に入ったら分ります。  あまり広いとはいえない校内。  関わりたくない人たちが堂々と歩き回ってる。  先生たちが、  「今日は登校しなくていいんだ。帰りなさい」 なんてヒステリックに叫んでた。  「オレは日下と違って、ここしかムリなんだ」  丸山君ったら泣きそうな顔で言うし、ぼく、どう会話続けたらいいのでしょうか。  ぼくが脇にはさんでいた文庫のミステリーを指さし、  「受験のときもミステリーか?うらやましい」 ってため息。  ミステリーを読むことだけは止められない。  母の影響かも!  「日下はどうする。お祖父さんは、警察に入って欲しいんだろう?  それともお母さんのように弁護士か検事?」  ぼく、首を横に振る。  「ミステリーを読んでるだけでいいよ。  現実の事件なんか関わりたくなんかない」  「この学校自体が事件だ!」  丸山君がため息・・・  「そういえば、眼鏡持ってきたかな。  テストなんかのときだけ使うんだ」  「そんな大事なもの、忘れたらまずいよ」  「シャープペンシル、足りるかな。  替え芯持ち込み禁止だし・・・」  「もっと大事じゃない!」  「消しゴムって!」  「眼鏡はともかく、ほかのならコンビニで揃うよ。  確認してみようよ」  正面校舎の北側にベンチが見えた。  人影はない。  ふたりでそちらへ向かう。  「受験票、まさか大丈夫って思うけど・・・」  「心配だなあ。丸山君、緊張しすぎだって!」  ベンチのそばまで来た。  「よけいなことに首を突っ込む日下健君!」    聞き覚えのある声。
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