先輩がぼくに質問したってこと

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先輩がぼくに質問したってこと

 先輩の声って冷たい。  でもカッコいい響き・・・  「最初に言いたいことがあります」  「言えよ」  「山口さんと平松さんのこと。ありがとうございました」  リンチにはかけず、すぐ自首させてくれたもの…  「どこかの暴力団のオジさんに見つかって痛めつけられ、こわくなって自首したということにした。  日下君。  君のお陰で予定狂った。  一応、慰謝料とったけどサ。  あれじゃ足りないんだ。  女の方、働かせてあがった金で、ハワイでも行こうって話してたんだ。  あたしらのハワイ旅行、どうしてくれる?」  先輩がぼくの頬をつねった。  三杉さんが先輩にカッター渡す。  耳に変な感触・・・  痛い・・・  手を当ててみる。  手のひらが真っ赤になった。  「日下君。痛い?  でもサ。あたしら、このくらいじゃ足りないんだ。  どうする?」  こわくなかった。  かっこいいって思った。  だけどやっぱり・・・ちょっと痛いです。  「思い出した。聞きたいけどサ。  『山口さんと平松さんをすぐ自首させなければ警察に通報する』 か・・・  日下君、あそこにいなかったけど、どうやってあたしのポケットに入れたわけ?  それにサ。  今日のことも聞きたいな。  あたしが梅花高校(ここ)の生徒だって、なんで分かったわけ?  あたし、知りたいな。  あたしのこと、感心させれば助かるかもよ。  言ってみろよ。  賢い日下君!」
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