2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
なにかはなむけの言葉をみんなで、ということで、色紙が回ってきた。中央に、友情と丸で囲ってあって、そのまわりを放射状に各々一言づつ、忘れないよ、だのがんばれだの、なんだか宙に浮いたような言葉がならんでいた。
僕はなにか気のきいた言葉をかきたかったが、いくら考えても浮かんでこない。
結局いつもの
元気か~?
と書いた。なんだかやりきれなかった。
季節はもう、マフラーの出番のくるころになっていた。
白い吐息を撒き散らしながら、僕は意味なく学校横の土手をめちゃくちゃに走った。
深谷がいなくなった。そのことが心に痛んで押さえきれなくなった。
ハァ…ハァ… 荒い息をしながら、呟いた。
『特別に仲が良かったわけでもないじゃないか』自分に言い訳してみた。それでもなんだか、もやもやがとれなかった。でもどうしようもない。
最初のコメントを投稿しよう!