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その夜のできごとがあって…数年ののちのこと。
コーサラともマガダともほど近い、カピラヴァストゥの都にて。
こつぜんと地上にあらわれていたのは、ブッダ…すなわち、『目覚めたひと』と名乗る、ひとりの聖者でした。
そして、誰も考えたことさえなかったようなことを…その聖者は伝え歩いたのです。
すなわち、肉体とは、たましいの一時のかりやどに過ぎないものであり、その若さ、その美しさとは、限りのあるはかないものであると。
また、この地上での出世、地位、名誉などというものは、永遠であるたましいそのものとはなんらの関わりもない、むなしいものであると。
そして、兵士であろうと、盗賊であろうと、乞食であろうと、国王であろうと…すべてのたましい、すべての生命とは、等しく尊いものであると。
すべてのたましいなるもの、すべての生命あるもの…そのひとつひとつが、無為に失われることの許されない、この地上の宝そのものである、と…。
聖者のその教えを…サットヴァは、そしてラーシュナは、それぞれに聞いたことでしょう。
そのとき、サットヴァの、そしてラーシュナの胸のうちには、はたして、どのような想いが宿っていたことでしょうか…?
【episode 1 …fin】
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