プロローグ「いつか出逢える君たちへ」

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プロローグ「いつか出逢える君たちへ」

はじめまして、みなさん。 はじめましてではない人も多いのでしょうか? そうであったら嬉しいのですが。 私は、イオン・ラピュラス。 三つ名はかなた。 この物語を束ねる「鍵」でございます。 この世界は不思議で不思議で。 あまりに不思議すぎて、形を成すことすら困難なほどに不思議に溢れていて。 私は飽きずに魅力的だと思うのです。 私は何度も愛しいと思うのです。 時に涙という雨を。時に笑顔という花を。 怒りという炎を。 嘆き、悲しみ、どうしようもない思いを抱えたまま走り続ける獣たちはとてもとても美しく。 空は青く。 木々は碧く。 海は蒼く。 いつだって眩い光を強く生み出す太陽に照らされて、きらきらと輝きます。 大地は赤く。 流れる血は紅く。 過ぎ去る夕陽は朱く。 いつだって形を変えて降り注ぐ月の光は、夜の闇さえ包み込むのです。 聞こえるでしょうか? 彼らの声を。 彼らのうたを。 歓びの歓声を。 憤怒の叫びを。 嘆きの慟哭を。 絶望の悲鳴を。 声は世界を駆け巡り、風となります。 風は世界を駆け巡り、想いを届けます。 そうあることを望み、願い、祈り。 私は、ここにあるのです。 どうかみなさん。 いつかそこへ辿り着くことを望んでください。 私が全てを運びましょう。 私が、全てを連れていきましょう。 めくられるべきページを埋めるものとして、私は新たな記録をここに残しましょう。
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