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あめもあめも
雨がポツポツと降り出した。澄み渡る空はあっという間に薄灰色の雲に覆われ、世界は真っ白になってしまった。
女の子はいそいで赤いレインコートを着込み、外へと繰り出した。
空から降り注ぐ雨をレインコートの裾をつまんで上手に受け止めた。
そのとき上を向いて、口を大きく開けて雨を堪能することも忘れなかった。
女の子は裾をしっかりとつまみ、一滴も零さないように大切に家の庭へと帰った。
庭には小さな鍋が転がっていた。
その鍋に溜まった雫を流し込むと、パチンと手を叩いた。パチンという音とともに、火花が散る。
火花は地面に落ちていき、小さな塊は大きくなり、ボウッと燃え盛った。その上に鍋を置く。
ふつふつと気泡を浮かび上がらせる雨水。
鍋の中身を近くの木の枝で丁寧に混ぜ合わせていくと、雨は少しずつ黄金色になっていった。
女の子は木の枝を数本拾い集めると、少しずつ粘性を増していく雨を木の枝で器用に巻き取り、パクリと口に入れた。
べっこう飴は上手にできたようで、女の子は嬉しそうに笑った。
火に土をかぶせると、女の子はべっこう飴を加え、また歩きた。
べっこう飴を口から外し、木の枝をふっとふくと、飴はぷっくりと膨れあがり、ふわりと宙に舞った。プクプクといくつも息をふき、沢山のシャボン玉がキラキラと空を舞った。
その中でもとびっきり大きく、キラキラしたシャボン玉に捕まると、木の枝をくわえたまま、女の子はふわふわと空へと飛び立った。
真っ白い雲まで飛んでいくと、シャボン玉に木の枝を突き刺した。
パリンと割れたシャボン玉は、白い雲の上に散らばり、キラキラと反射した。女の子はボフっと大きな音を立てて雲の上に着地し、ごろりと横になって、散らばった飴をかじった。
パリンと小気味良い音がした。
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