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一話
ここはとある異世界の国。地底に存在する国で時計塔を管理している魔術師の青年が暮らしていた。
そんなある五月の真ん中頃のこと、青年の元に一通の手紙が送り込まれた。
「エリックさーん、郵便です!いますか?」
ノックをした後、郵便の人はドアを開けて入って来た。
「はい、いますよ。いつもお疲れ様です。」
彼の名前はエリック。苗字のないただのエリックである。
身長は175㎝くらいの普通くらいの大きさで、髪はくすんだ金髪で前髪は目が隠れるほど長く、右目が隠れている。目は三白眼で緑色の瞳をしており、少々目つきが鋭いが柔らかで不思議な雰囲気が出ている。服はかなりシンプルできちんとした様な服だ。
「それで、何かお届け物でも?」
エリックは不思議そうな表情で首を傾げ、郵便の人に聞いた。
「あぁ、それがですね。珍しくあなた宛ての手紙があったんですよ。」
そう郵便の人は笑顔のままバックから手紙を取り出してエリックに見せた。
エリックはその手紙を受け取り封筒の表裏を確認した。
「…差出人は?」
「すいません、口止めされてるんですよ。」
苦笑いをして右手を頭の後ろに当ててる郵便の人を見た後、中身の紙だけを取り出した。
「では、仕事があるので失礼します。」
そう相手が家から出た後にエリックは手紙の内容を見た。
「エリック殿へ…、あなたに頼みたいことがあってこの手紙を送りました。ある家にいる子達を育ててください…、私の手にはおえなかったので、後はキミに任せる…、場所は一緒に入っている地図を使って…」
それは子育ての依頼だった。ただの育てろと言う事しか書かれていない。
流石のエリックは「えっ」と思ったが頼みは断れない為、そこへ向かうことになった。
「(こうも、差出人のわからない人に頼まれるとは…)」
仕方ないと思い、地図とある程度の荷物が入っている鞄を背負ってその場へ向かうことにした。
地図を辿るとそこは自分の暮らしている国の上にある王国の離れにある家だった。どこぞなく、とても静かな雰囲気が漂っている。
しかも、カーテンは全て閉じている。ゆっくりとドアに近づいては何やらギャーギャーと喚く声が聞こえた。そのままドアノブを捻ってドアを開けるとそこには三人の少年がいた。
しかも吸血鬼で全員ゴシックの様な服を着ている。
一人目は艶やかな黒髪で紫色の瞳をした若干ツリ目の子。
二人目は赤毛で金と銀のオッドアイをしていてパッチリとしたツリ目の子。
三人目は明るい茶髪で真ん中が黄色で他は赤味かかったオレンジ色のアースアイをしている滑らかなツリ目をしている子。
そして三人とも目の色を赤く変えてエリックの事を直視していた。
「ど、どうもこんにちは」
苦笑いだったがなんとか挨拶をして見せる。
けれど、吸血鬼の少年たちは近くにある家具で武器になれそうな物でそれでエリックに向けている。それでまず誰から襲うんだとでも言いたそうなアイコンタクもしている。
「え、えっと、その武器を下してくれませんか?何も危害をしませんから」
困ったような顔で両手を小さく上げた。
そして少年たちはまだ警戒した様な表情だったが武器を下した。
これが、エリックと吸血鬼達の出会いだった。
だが、中に一人だけ。黒髪の子は殺意満々の目線を送っていた。
それに気付いたエリックは少しきょどっていた。
その子だけ何かを呟いた後、部屋に入って行き、他の子達も後に続いて入って行った。
「(これ、やっていけるのかな)」
そう心配になるエリックである。
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