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人参の葉っぱ
あとは、不器用なりにもオトナなんだし、きっと上手く2人でやるだろう。
ーーーこの先は、二人次第だ。
敦美は、新しく誕生したカップルを見ながら仕事をした。二人は、あえてそばによらず平静を装いいつも通りに仕事をしている。
そのぎこちない雰囲気がまた初々しい。
ーーーいいなぁ。副社長も。杉谷さんも。
書けなくなったボールペンを振りながら、敦美は有人のことを考えてしまう。
ーーーアルくん。どうしてるかな?
もう会えないと思うと胸が痛んだ。
息苦しくさえなるように思えた。
ーーーこんなんじゃ、恋と錯覚してしまいそうだ。
恋なんかじゃない。さみしいだけだ。せっかく会えた教え子と、また会えなくなるのが切ないだけだ。
敦美は、振ってみたボールペンで書類に字を書いてみた。
ーーー書けないや。もう、捨てなきゃ。まだこんなに中身が残ってるのに。
くずかごにボールペンを落とす。カタンッと音を立ててくずかごの底に落ちていったボールペン。
それをジッとみていたら、少し切ない気持ちになっていた。
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