年下だろうが男は男

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「うん。全てだよ。敦美ちゃんには、年下くらいがちょうどいいよ。なんせ恋愛経験ゼロなんだから」 テレビ画面を眺めて「ははっ」と笑う美月。 「アルくんを恋愛対象に見る気はないし、きっとアルくんも見てないよ」 「それはどうかなぁ?年上に憧れる年齢だよ。20代の男なんてさ〜。ひょっとすると、まだ『あの斎藤くん』も女性経験ゼロかもだし。経験ゼロゼロ同士って上手くいくのかな?なんかさぁ初めての時なんて凄い大変そう〜」 美月はリンゴにフォークを刺そうとして、わざとリンゴをうまくさせないフリをする。皿の上を少し移動して揺れ、やがて倒れるリンゴ。 「美月! ちょっと何を想像してんの?」 「敦美ちゃんの初めての様子を想像してみたんだけど、なんか上手くいかないなぁ」 「へ、変な想像はやめて」 美月からフォークを取り上げ、敦美はリンゴにフォークを刺した。 「おっ、やる気になったの?」 「ううん、食べる気になっただけ」 刺したリンゴをかじる敦美。 「おっ、食べる気になったとか…敦美ちゃんってば大胆発言だね〜、いいんじゃない?」 ニヤつきながら腰を上げた美月。 お笑い番組の続きを見たいらしくテレビの近くにあるソファに場所を変えて座った。
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