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ベッドに横になる時まで、敦美は有人のことを思い出し考えていた。
ーーーアルくん、返事待ってるかなぁ。だとしたら申し訳ないな。
スマホを手にし、画面を眺めた敦美は目を見張った。だいぶ前にまた有人からラインが来ていたようだ。
ーーーしまったぁ! もっと前に見ておくんだったぁ。
顔をしかめ後悔しながらも急いで有人からのメッセージを読む。
『突然だけど今週の金曜日、夜時間ある?』
ーーーなんだろ?時間はあるけど。
「うん、あるよ。どうしたの?」
『じゃあ、今度こそ御飯行けるかなぁって思って…ダメかな?』
年下らしく可愛らしい甘えた聞き方だ。
「行けるよ。その日は御飯の用意しなくていいって言っとくね」
『やった!ありがとう。じゃあ、17時に自由が丘駅前のところで待ってるね』
「うん、早く行くね」
『うわっ、俺、なんか凄い楽しみ〜』
ラッコが踊っているスタンプが送られてきた。
ーーーふふっ、アルくんってラッコ好きなのかな?
敦美は、微笑みながら返事を送った。
「私も楽しみ」
スマホを胸に抱いて、敦美は目を閉じた。
ーーー本当に楽しみだな。アルくん何が好きなんだっけ?
敦美は、小学生の頃の有人を思い出していた。あの頃、勉強が終わると雑談をした。好きな食べものの話もしたような気がする。
ーーーなんだったっけ?アルくんの好物。
家庭教師をしていた頃の楽しかった思い出を振り返り、懐かしい気持ちになりながら、やがて敦美は静かに眠りに落ちていた。
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