男性なら引くこと

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『セイレン株式会社』のお昼休みは、きっちり12時から13時。滅多な事で休憩時間がずれ込んだりはしないし、逆に伸びたりすることも無い。 「お昼一緒にどう?」 毎日、決まって外へ食べに出る緒方と隆二が女性陣に声をかけた。 「私、お弁当ですから大丈夫です」 整頓されたデスクの上に弁当を置く昌子。 「お二人でどうぞ」 笑顔を2人に向ける敦美。 毎回敦美も昌子も断るのに毎回2人は、決まりごとのように女性陣に声をかけてから出かける。 裏口の扉がガガギギッと軋んでから閉まると、敦美は正面に座る昌子に聞いてみる。 「毎日聞いてくれてるのに、なんか悪いですかね?」 「そんなことないわよ、外で食べたらお金がかかるもの」 昌子はデスクにペイズリー柄のナプキンを広げ、そこに朱塗りの楕円形二段弁当を置いてから、ゆっくりと蓋を開けた。 「そうですよね」 敦美も赤いチェック柄のナプキンを広げて、その上にシンプルな白いプラスチック製の四角いタッパーを置いた。 タッパーを持ち敦美は椅子から立ち上がって事務所の窓側にある小さい電子レンジに向かう。 タッパーの蓋を開け少しずらしてからレンジの中に入れボタンを押し温め始めた。 温めている間、窓に下がっているブラインドの間から道路を眺めた。 主婦みたいな年齢層の3人組がスマホを見ながら道を指差し話しているのが見えた。 ーーーランチの場所でも探してるのかな? レンジの作動音が響く中で、珍しく昌子から敦美に話しかけた。 「斎藤さん、貴方付き合ってる人とかいるの?」
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