晴れの日と災厄男

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 私は今年で27歳になる。俗に言うアラサーというものに、片足を踏み入れた形だ。  周りの同級生はすでに結婚をしていたり、婚約をしていたりしている人が多かった。もちろんしていない人もいるが、そんな人たちも、そろそろ結婚という考えを口にすることが多い。  みんながそうしているから、とか、周囲に同調するのは気が進まない質ではあるが、周りと違うとなんとなく引け目を感じてしまうのも事実だ。  私は今の仕事にやりがいを感じているし、今後の目標も持っている。だから今、結婚ということを前向きに考えられない自分がいる。  森岡さんと会って、森岡さんの口から”結婚”という言葉が出てきても、心が動くことがなかったのがその証拠だろう。  結婚をする気がまるっきりないとか、そういうことじゃなくて、ただ、今はそのつもりがないというだけなのだ。  そういった状況だと、恋愛についても二の足を踏んでしまう。同じくらいの年齢の人と交際する場合、相手も結婚を考えたり、意識したりしてくる。年上なら尚更だ。かといって、遊びのような恋愛は性格的に向いてない。  森岡さんと会って、気持ちが前向きにならなかったのは、そこにあるのかもしれない。  私を悩ませる問題は、森岡さんだけではない。  風張さんのこともそうだ。風張さんとは、以前に食事に行く約束をしていた。それはアクシデントによって中止になってしまったのだけれど、今度また行こうという約束を交わしていた。  風張さんとは食事に行きたいと思っていた。私のことを考えて、いろいろお店を調べてくれたみたいだし、風張さんイチオシのお店をネットで見てみたら、雰囲気も良さそうだし、メニューも美味しそうなものがたくさんあった。  風張さんは私に好意を抱いてくれている。それは、ほぼ間違いのないことだ。もし、風張さんが、恋の先のことまで考えているのであれば、私は風張さんと安易に食事に行くべきではないのだろうか。そんなことも考えてしまう。  iPhoneにメッセージが届いていた。風張さんからだ。予想通り、というか、今度の食事をいつにするかという内容だった。私が森岡さんと会ったあの日から、風張さんのアピールもなんだか積極的になってきた気がする。  森岡さんとも連絡先を交換したけど、こちらは淡々とした感じで、次に会う日時や場所を伝えるだけだった。たぶん、森岡さんは女性との恋愛経験があまりないんだろうな。いや、風張さんにもそれは言えるか。  部屋でひとり、いろんなことを考えていると、どんどんと時間が過ぎていく。ああ、めんどうだけど、メイク落としてお風呂入ってスキンケアしなきゃ。  ほんと、女ってめんどくさいよね。特に、私みたいな女は、本当にめんどくさい。  風張さんも森岡さんも、私みたいな女の、どこがいいんだろうか。私、そんなに魅力ないよ。自分でそう思う。  会社ではクールビューティみたいに言われているけど、優柔不断なところあるし、こうやってずっとうじうじと悩んでいることもあるし。  でも、風張さんも森岡さんも、私とちゃんと向き合おうとしているのだから、その想いにはちゃんと応えなくてはならないと思っている。  まずは風張さんから。  『週末の金曜日。フェリチタに行きましょう』メッセージを入力して。風張さんに送る。森岡さんへの返信は、明日でいいかな。  なんだか考え過ぎて疲れた。お風呂でちょっとゆっくりしよう。  でも、お風呂でもいろいろ考えちゃいそうで、それがなんだか嫌だ。
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