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90周年おめでとう
「こちらをどうぞ」
「ありがとうございます」
受付のお姉さんは、にこやかに景品を手渡してくれた。
後ろにも人がいたので、邪魔にならないように外へ出た。
「ふいー、終わった終わったー」
海から吹いてくる風に髪をたなびかせて、江ノ島は大きく伸びをした。
「最初はザーザー降りの雨だったのに、すっかり晴れちゃったよ」
「でも、まだちょっと風が荒いね」
貰ったものをファイルにしまい、カバンに入れた。
「まだバッジあってよかったー」
「二日目だからね」
むふふ、と笑みがこぼれてしまう。
「これからどうしよっか」
「どっかでお茶する?」
「いいね、ここら辺は私に任せて!」
誇らしげに胸を叩く江ノ島。当然、沿線のことは自分がよく知っている。
観光地のことなら尚更だ。
「今日1日、高尾専属のガイドさんだよ!」
私の手を取って、引いていく。
無邪気そうに笑う姿が、嬉しく思えた。
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