十年前と後の自分へ

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『十年後の自分に手紙を書きましょう』  僕が小学生の時だ。  国語の授業で未来の自分へ手紙を書くことになった。  クラスメイトは騒めき、教室には現実の億劫さや未来への希望の空気が漂っていた。  実際のところ僕は面倒くささが勝っていて、とにかく眼の前にある原稿用紙のマス目をいかに早く多く埋める事しか考えていなかった。  ただ一つ将来の自分に言えることは、 「なぁ、お前なんて書いた?」  後ろの席にいる幼稚園からの親友に話しかける。 「んー、そうだな。……とりあえずお前とは十年後も仲良しでいたいかな」  僕はきっと満面の笑顔をしていたのだろう。  同じことを思っていたからだ。  そして月日は流れた。  学校で十年間大切に保管されていた手紙を受け取る。  辺りはちょっとした同窓会になった。
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