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「戦闘中に気を抜くんじゃねぇマヌケ!」
「……分かってる!」
「作戦を変える。少し引くぞ」
「チッ……了解」
ロイは怪盗mと視線をかわしながら数歩下がると別室へ移動した。部屋には怪盗mと八雲の1匹と1人になる。
これだけのスピードで動かれてしまえば銃など無駄だと悟った八雲はテーザー銃をホルスターに戻す。そしてサバイバルナイフを取り出すと、強い眼差しを持って怪盗mと対峙した。
「次は……確実に仕留める」
「いい殺気ね。ゾクゾクしちゃうわ。そうだ、あなたにいい土産話を持ってきたの。あなたの可愛いガールフレンドの話よ」
八雲は一層眉間のシワを深くすると、三白眼を更に細め明らかに殺気を強くした。
「………旭に何をした」
「いやね、何もしてないわよ。ここに来るまで少し時間を持て余したから、彼女のおうちを少し訪問したの。私、イケメンのパンツだけじゃなくて、際どい系の女性下着にも強い興奮を覚えるのよ」
「なん、だ、と……?」
「際どい系よ。総レースのTバックや紐パンなんかも可愛くて素敵ね……あらあらうふふ、察しのいい可愛い坊やだこと」
怪盗mは自慢の尻尾を挑発するようにふぁさりと振ると、赤面し硬直し始めた八雲の双眸を眺め目を細めた。
「そんな挑発は無駄だ!」
「じゃあ旭小夏のパンツ、坊やは見たことあるの?」
「答える義理はない! それに旭に限って……そんな……」
「ふふ、彼女見かけによらず大胆な下着を身につけているのね。大いに興奮したわ」
「まさか貴様……旭のパ、パパパパ、パンっ」
八雲は「パ」しか喋れない壊れた機械人形のようにカクカクになってしまった。サバイバルナイフはバイブレーションのように震え、立っているだけで精一杯の様子。
「その動揺はどれかしら? まさか清純そうな彼女がいやらしい下着を着けていたから? それとも彼女の大切なパンツが私に奪われてしまったかもしれないから? もしくはまだ誰も目に触れていないはずの彼女のパンツ姿を、私が最初に拝んだのに嫉妬したのかしら?」
「うっ、煩い! 黙れ……!」
八雲はサバイバルナイフの柄を砕け散るほどに握りしめる。八雲の激しい動揺の原因など、怪盗mが吐いたものすべて正解だった。
※ 実際の相馬八雲はこんなにチョロい暗殺者じゃありません
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