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「待て! 怪盗m!!」
怪盗mが八雲のズボンを半分ほど脱がした時だった。ロイの声が部屋中に響き渡る。怪盗mはだらしなく床に転がる八雲の尻の上に乗ると、ふぁさりと尻尾を振った。
「寂しかったわ、どこへ行ってたの? ロイ」
「悪いな。手土産の奪取に手間取っちまった」
「手土産?」
「ああ、聞いてたぞ怪盗m。際どい女性もの下着も好物だそうだな? ……くくっ、欲しいならくれてやる! 総レースのTバックだ!!」
「ぎゃっほう!!」
怪盗mの趣味にクリーンヒットしたのか、変態としか言いようのない奇声を放った黒猫は全身の毛を逆立たせて大いに反応した。
まるで印籠のように掲げた紫のTバックがロイの手からぶら下がり妖艶に揺れる。八雲は思わず目を瞠った。
「ロイ……お前、それ……」
「背に腹は変えられねぇ。怪盗m、今日はこれで勘弁しちゃくれないか。また後日、改めてお目にかかりたい」
「じゅるり……なかなかの際どいパンツね。恐れ入ったわ」
「もちろん使用済みだ。今さっき洗濯機から引っこ抜いてきたんだからな」
「ふ、ふふふふ」
「くくくくく」
1人と1匹の不気味な笑い声がリビングに響く。怪盗mはひとしきり怪しげな笑い声を響かせると、ストンと八雲の尻から飛び降りロイの目の前まで歩いて行った。
「いいわ。私もなんだか疲れてしまったし、今日はそのパンツで引き下がってあげる。でもあなた達のパンツはこの怪盗mが必ず奪ってあげるわ」
「光栄だね。最後にお願いだ……キュートでスリリングな君の名前を、ぜひ聞かせてもらえないか?」
ロイは恭しく跪くと手に持ったパンツを怪盗mに差し出した。満足気にひと嗅ぎした怪盗mはそのパンツを受け取る前にそっと口を開く。
「いいわ、ロイ……私の本当の名前はミサo」
バッキィイイイイ!!
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