27人が本棚に入れています
本棚に追加
とある高層マンション、最上階の一室。
その黒猫は首から戦利品を外すと、丁寧に積み上げたイケメンズパンツ達の上にそれを乗せた。
本日の戦利品は水玉と赤のボクサーパンツがそれぞれ1枚、ハイブランドパンツが1枚、黒のビキニパンツが1枚だ。
惜しくも水玉パンツのみは違ったものの、残り3枚は脱がせたて。イケメンのほのかな温もりと匂いをまだ存分に感じることができる。
黒猫は自らの頭に装着したわざとらしいうさ耳をもふりと揺らせ、これまたわざとらしい鼻眼鏡をギラリと光らせるとそのパンツの山にダイブした。
「ぎゃっほーーーーう!!ここはヘブン!! 快ッ感!!」
既に人語を話しているというのに今更ゴロニャンゴロニャンと猫らしく顔をパンツの山に擦り付け転げ回る。
ひとしきりイケメンの香りと温もりを頂戴した黒猫、否、怪盗mは、ヨダレをぬぐい恍惚としたため息を吐いた。
「とても、えぇ……非常に満足だわ……でも何故かしら、今日は4枚も手に入れたのに何か足りない。もっと、命のやり取りを楽しむようにスリリングな……そう、猛烈な刺激が欲しい」
明らかな変態発言をそれらしく言ってのけた怪盗mは、窓一面に広がる夜景を眺めゆらりと立ち上がった。
「ふふ……所詮私もこのコンクリートジャングルに迷い込んだ飢えた獣なのね」
視界の果てまで乱立する鉄の木。川のように揺蕩うネオンの明かり。今宵も怪盗mは抑えきれないパンツ欲を胸に、1枚の予告状を口に咥え窓から飛び立った。
「命をかけたパンツ&トランクス、頂くわよ。待ってなさい、相馬八雲、ロイ・エバンス」
最初のコメントを投稿しよう!