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「くだらん。チャラチャラしたパンツばかり履きやがって。頭髪からして既にチャラくさいのに下半身までチャラくさいとは、救いようがないな」
「持ちパン全部真っ黒ボクサーの、何の面白味もないムッツリスケベに言われたきゃねぇな。ルパンか、あ? さっさと小夏にバレて引かれろ」
「旭がパンツごときで引くわけないだろ!!」
その発言の説得力が著しく低下してしまうほど、八雲は激しく動揺し声を荒げた。しかしすぐさま慌てて口を押さえる。ロイまでが慌てて立ち上がると八雲のつむじにゲンコツを落とした。
「馬鹿野郎! 今日の深夜の小夏監視当番はエリザだ。今仮眠中なんだから大声だすんじゃねぇ! 殺されたいのか?!」
「……チッ」
2人は極限まで声のボリュームを落とす。八雲は仕方なくモニターの前まで移動した。
「……この地図はなんだ」
「近隣の被害状況だ。これだけのパンツが奪われているにもかかわらずまだ捕まっていない。直近だと……ここ、アガタ家、そしてここ、ビューティーサロン・エンジェル。4人まとめてやられてる」
「俺たちは地域の平和を守るヒーローじゃないんだぞ。そこまで首を突っ込んでられるか。そもそもなんでパンツを狙う?」
「ここからは極秘で手に入れた情報なんだが……」
ロイは眉間に皺を寄せると、その綺麗な碧眼を僅かに曇らせた。
「ヤツはイケメンしか狙わない。お前は少々解せない部分もあるが俺は仕方ないな。で、イケメンのパンツを狙いそれでベットを作り夜な夜な頬ずりして嗜むらしい」
「きっ……気色悪っ……」
「いいのか? まだ小夏にも見せたことのないパンツを、何処の馬の骨だかも分かんねぇ珍獣に奪われオカズにされて。たまったもんじゃねぇ。全国のイケメンの為、被害はここで食い止める。これが絶世のイケメンとしてこの世に生を受けた俺の使命だと思うんだ」
八雲は体験したこともない、人知を超えた気持ち悪さにまだ顔面を引きつらせたままだった。
ロイの発言にはいささかツッコミたくなる部分が多々あったものの、八雲の中で渦巻く得もいえぬ気持ち悪さはただの憎悪へと変貌を遂げていく。
そして遂にその重い腰を上げるのだった。
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