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薄いベールで覆われたような柔らかな光を放つ満月の下、八雲にゲテモノ呼ばわりされた怪盗mは連なる家々の屋根瓦の上を軽やかに駆けていく。
「なぁーん……」
猫らしい鳴き声を1つ残し、とあるアパートの屋根へ軽やかに着地した。その瞬間ピンクのクマパンツを通し、自前の黒く艶やかな毛並みがビリビリと震える。
アンダーコートにまで伝わる殺気。怪盗mは堪らずヨダレをすすった。怪盗mのmは間違いなくMのmだった。
「この殺気、たまらないわ。……スンスン、火薬の匂い。何も考えずに侵入するとたちまちドカンというわけね。ここは怪盗の本領発揮、ってところかしら」
怪盗mは鼻眼鏡をキラリと反射させるとアパートの2階、とある一室の玄関前に舞い降りた。
「イッツ ショータァァアアイム♡」
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