第一章~菫、転生~

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 庵の声が駅構内に響く。  って、おいおいちょっとまて。  俺は周囲の視線に気づいた。 「あ、おい庵」 「なんだ! あっ……」  庵がはっと顔を上げた。周りの視線が一点に……俺たちに集約されている。 「若いっていいねえ~ほほほ」 「ほんとにねえ、ほら彼女たちを迎えに行ってあげなさいな」 「まったく、愛らしい彼女さんたちじゃないか」 「は、ははは……それはどうも」  はあああああ! もう嫌です! 「葵、行くぞ!」  俺は庵に引きずられ、周囲のにやにやした目線に見送られながら、駅の窓口に向かった。    庵は、総合窓口と書かれた部屋に飛び込んだ。俺もそれに続く。 「おい香花、お前、何してんだ!」 「ほえ?」  俺たちは眼のまえに広がる光景を見て、もう怒る気もなくしてしまった。  おてんば娘二人は、貰ったであろうお茶を飲みながら、茶菓子をほおばっているではないか。  そして、駅員さんたちと楽し気に語らっている。
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