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それから、その場が落ち着いたのは二分後だった。
俺と庵が駅員の皆さんに、深々と頭を下げる。
「皆さん、香花と菫が本当にご迷惑をおかけしました」
俺が代表して謝罪の言葉を述べると、庵が香花の綺麗な首筋をつかんだ。
「いたっ!? 何するのよ」
「ほら、お前が騒動の元凶だろ? お前も謝れよ」
香花は、駅員さんたちと庵の顔とを何度も交互に見ると、少しのあいだ口をとがらせていたが、やがてしぶしぶ頭を下げた。
「優香さん、賢治さん、皆さん、私のわがままでご迷惑をおかけしました。ごめんなさい」
「私からも、改めて……すみませんでした」
庵も香花に続いて頭を下げた。
こういうときの庵の一面は、見ていて大人だと俺は思う。たとえ自分が悪くなかったとしても、彼は昔から仲間を見捨てない。
庵が多く信頼される理由の一つがこれだろう。
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