第一章~菫、転生~

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「じゃあまたね、香花ちゃん、菫ちゃん」 「うん! 優香さんたちもお元気で! お仕事頑張ってね~」 「ああ、ありがとう! 君たちも、楽しんで来いよ」 「賢治さん、ありがと~」  どうやら、香花は優香さんと、菫は賢治さんとよく打ち解けていたようだ。  こうなっては、俺と庵も二人にならって駅員の皆さんに手を振るしかない。    いや、そうしないというのはむしろ野暮というものだろう。  しかし、この二人のコミュニケーション能力にはいつも驚かされる。  いくらこの街が繋がりのつよい場所だとはいえ、二人のコミュニケーション能力の高さがなければ、俺たちは構内放送で呼ばれることもなかっただろう。  迷惑だが、二人の持つ素晴らしい一面でもあると俺は思う。 「それじゃあ行くか! 目的地はすぐそこだ」 「そうだな庵。二人とも、今度はちゃんとついて来いよ」  俺がそう言うと、菫は何を思いついたのか俺にとびついた。
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