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「うわっ! ど、どうしたんだよ菫」
菫は少し恥ずかしそうな顔をしている。
「あ、葵、ついて来いじゃないでしょ? ちゃんと手を引いて連れて行ってくれなきゃ」
菫は自分で言っておきながら恥ずかしかったようだ。
顔を真っ赤にして、もじもじしている。
口には出さないが、こういう菫も俺にとって凄まじい破壊力だ。
「っ! しょ、しょうがねえなあ、ほらよ」
俺は恥ずかしさを誤魔化すために頭をかき、菫の手を引いてやった。ああまったく、これが愛おしくてたまらないという感覚なのだろうか。
「香花、ほらよ」
「えっ?」
「手かせよ、お前こそ捕まえてないと、また面倒起こすだろ」
庵はそう言うと、ふんっと言わんばかりの顔で香花の手をしっかりと握った。これには香花も、完全に先手を打たれたという感じだ。
俺が変わっていくと自覚する一方で、庵もまた随分と変わった。
俺は最近そう感じる事がしょっちゅうだ。人は恋をすることで変わる。それに相違はなかった。
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