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「……ごめんね、庵」
香花が必死な眼差しで庵を見つめ、俺と菫も思わずうなだれた。
どう見たって、四人で完食できる量ではない。
だが庵は、くどくどとしつこい体質でもなかった。軽く息を吐きだして心を落ち着けると、観念したかのように苦笑した。
「ふうっ、いつまでも反省会をしているわけにもいかないな。仕方ない、とりあえず無理のない範囲で食べてしまおう」
「……そうね、食べましょ」
確かにその通りである。せっかく久々に四人集合したのだから、くだらないことで時間をつぶしたくはない。
俺たちは気持ちを切り替え、食事を始めた。
「しかし、やはりすごい量だな。これだけあれば、気を遣うことなく好きなものを食べられる。たまにはこういうのもありだな!」
庵は一度切り替えてしまうと、とことんその状況を楽しむ。この適応力は見習いたいものだ。
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